2013年03月11日

平成25年3月 添え状より

拝啓 早春の光が輝くきょうこのごろ、皆さま如何おすごしでしょうか。 もうすぐうららかな春、春眠暁を覚えずと申しますが、人生の三分の一は夢の中です。ですから睡眠も人生のひとつ、今日は名作落語から面白い夢の話をします。

<夢金>  欲深き 人の心と 降る雪は 積もるにつけて 道を忘るる介護の森3.png

 舞台は、山谷堀の吉田屋という船宿。そこの船頭・熊蔵は、寝言でも 「百両欲しい〜」と金の話をするような守銭奴です。
ある雪のひどい晩、熊が「金くれえ」と唸っていると、訪れたのがやつれた身なりの浪人と美しい町娘の二人連れ。
「兄妹で芝居見物の帰り。舟を一艘頼みたい。雪の中ゆえ酒手は幾らでもはらう」と侍が言うや、熊は飛び起きます。舟が雪景色の大川へ出ると侍が
「娘は大店の家出娘で懐に百両近く持っている。殺して金を奪うからお前も手伝え。断ればお前を斬る」と打ち明ける。熊が仰天して断ると
『大事を明かした上は命はもらう』と侍はすごんでみせる。
「解りました! でも、ここでやられたんじゃ痕が残る。これから船を中州にやりますから、そこでバッサリおやんなさい。朝になれば、水が満ちて亡がらは川ん中だ」
こうなると、欲と怖いのが一緒になって、熊公は一生懸命船を中州へ。 侍が先に上がったところで…いっぱいに棹を突っ張り、舟を出してしまいます。
介護の森4.png
「こら、卑怯者!船頭、返せ、戻せ!」
「ざまあみやがれ、宵越しの天ぷらァ! 今に潮が満ちて来てみろ、『侍』が『弔い』って名に変わるんでぃ!」
娘を起こして身元をきくと、何と石町の扇屋という豪商の一人娘だった。そこにお嬢様を届けると、感激したご両親がお礼に二百両もくれた。
「有難てぇ。こっちが百両、こっちも百両。合わせて二百両ォ!!」
「うるせぇ!! 静かにしろ!!」
「アァ…夢だ」   と思わず、金を握りしめた瞬間、物凄い痛みで目が覚めた。夢から覚めると熊蔵、己の急所を握っていた。

古い江戸落語の名作〈夢金〉は、雪の大川を小舟が行く美しい描写とオチの馬鹿馬鹿しさが好対照の落語です。下ネタのオチですが三遊亭金馬は身祝いの酒手を受け取り、百両と百両を両手に持って、「二百両ぉ〜」、「ああ、夢だ」。と品良く落としたり、噺家によって中身は変えているようです。
 落語は江戸時代に成立した伝統的な話芸ですが、「落し話(おとしばなし)」略して「はなし」とも言われています。皆さまの中にも落語フアンは多いのではないでしょうか。

 さて三月の請求書を同封いたします。ご不明な点は各ケアマネージャーや総務までお問い合わせください。
気温の変化で体調を崩しやすい時期ですので、どうぞくれぐれご自愛ください。                       敬 具
                        平成25年3月11日    総施設長 神原美智子
posted by 施設長 at 03:35| 日記